PSI Vol.1, No1 May 1976 Special contribution paper 1-2. pp.10-13.
 特別寄稿論文
特別寄稿論文 心理生物物理学(2)
スタントン・マキシー(翻訳 関英男)
On Psychobiophysics
Dr. E. Stanton Maxey (Transrated Hideo Seki)

12.鍼灸医学 *訳については立光博士の御指導を仰いだ。(訳者)
 鍼灸は西側の医学界の注目をあつめ、すでに認められている神経生理学的考え方に動揺を与えた。たとえ憶測にせよ、どんな反響があったかをみよう。鍼灸のつぼの電気抵抗は異状に高いので、高インピーダンス抵抗計で容易に検出できる。そのようなつぼは皮膚の表面に約1200個所分布している。そして、東洋の著者によると、それらは28の経絡にまとめられ、約半分は正のエネルギーを伝え、残りの半分は負のエネルギーを伝える。(“Chi”または“ki”)とよばれるエネルギーは空中からこれらの系にとり入れられ、それぞれ陽“yang”および陰“yin”とよばれる。
 上空で形成されて地上に向って移動する正のaerionsが東洋の書物で「陽」エネルギーに等しいとし、地上から上方に方に移動する負のaerionsを「陰」エネルギーに等しいとしてよいものかどうかどうかを考えてみよう。また、オカルトの書物でかすかなエーテル体から現実の系に流れこむ点といわれている“nadis”が実際に鍼灸で、物理学の法則に従って電子の流れを伴うをもつ“つぼ”であるかどうかを探ってみよう。
 人間の屋外環境には電位頃度がある。それは主として地上で負、上空に行くに従い、van AIlen放射能帯の内側まで正である。 その傾度は多分150V/mから、大きいときは3000V/mにも達する。この自然静電界は通常たくさんの天文学的因子で変調されてはいるが、基本の変調周波数はシューマン共鳴(Schumann resonance)として知られ、3〜14Hz(平均8Hz)のスペクトルをもっている。Max Planck研究所のR.Weverは約10Hzの電界が人間の24時間リズム(circadian rhythms)を制御していることを明らかにし、地上環境のこの成分はそのような生物現象に対するペース保持になっていることを示唆した。24時間リズムの狂いは大低の航空旅行者が経験する。それを“jet lag(時差ボケ)”とよぶ。因みに、同様の周波数が人間の脳波においてもみられ、超常聴覚や透視が通常の瞑想者間でで3〜12Hzの脳波でおこることは興味あることとして付記しておく。 静電傾度
 一度屋外にでる者はこの環境に支配される。そして、環境の静電傾度の中に入ったaeriosは体内に入ることを物理学は教える。これは、弱いけれども、ちょうど雷が避雷針におちるようなものである。つぼの抵抗は低いから、それらのaerionsは主として必然的につぼに向って流れこむはずである。
東洋の書物でも、物理学の粒子理論でも、環境電気エネルギーがつばを通じて、正および負の経路に流れると結論している。興味深いことに、正の経絡系は主として背部皮膚にあるのに対して、負の経絡系は腹部の上にある。人類は初期の四つ足の進化時代に背中に正の上層大気から正のaerionエネルギーを受け、腹部、手のひらおよび足の裏などに負のエネルギーの大地面から負のエネルギーを受けるようになっていただろうか? とくに輝かしい電気生理学的革新が日本において井穴(seiketsu)つぼの研究で達成された。これらは手指や足指の先端にある経絡帯のつぼである。本山博士は3Vの電位を与えた直後に、はじめ増加し、後に減少する電流を観測した。初期値を“分極前”と命名し、1秒後の電流を“分極後”と命名した。これらの電流値は別の井穴つぼによっても、年令や恒常性の異なる人によっても差のあることを観察した。一部心霊情報から指導されて、本山博士は28の井穴つぼから“分極前”と“分極後”の値をとり、記録し、分析するコンピューター・プログラムを開発した。かれはまたこれらの現象は、感覚系、交感神経系および副交感神経系からは説明つかないことを示した。 コンピューターから弾きだされてくる赤い数字は異常を表わす。左肺に疾患をもつ被害者の親指(肺の経絡の井穴つぼ)から赤数字が観察されることは、何と驚くべきことか?現在、これらのコンピューター解析は価値のある医学診断の手段になっているように思う。

チ ャ ク ラ 位  置 影響する器官 心霊的特性
1.ムラダーラ
(Muladhara)
2.スヴァジスターナ
(Swadhisthana)
3.マニピューラ
(Manipura)
4.アナハタ
(Anahata)
5.ヴィシュダー
(Vishudda)
6.アジナー
(Ajna)
7.サハスララ
(Sahasrara)
脊柱基部

仙骨

太陽神経叢

心臓

咽頭

前頭

頭頂

副腎

生殖腺

脾臓

胸腺

甲状腺

脳下垂体

松果腺

L parenthesisトランス
超常聴覚
透視






L parenthesis意識
透視
超常聴覚
13.チャクラ
 かれらはもっとやっている。チャクラに関係ある器官の不安定をコンピューターの読出しから観察することによって、本山博士は霊能力者をみとめ、その超常能力が何であるかを知ることができる!
 チャクラは多数の放射葉(lobes)または花弁をもつエネルギーの場であるといわれており、これらはつぎのように器官でもあり、心霊能力でもある。
 かくて、経絡解析器が腎臓、膀胱、大腸および肺臓の経絡の不安定を示すときにはマニピューラ・チャクラが活発であると推論され、透視とか超常聴覚が期待される。そして、その通りになる。われわれはいつかは、鍼灸の電気心理生理学を理解して、西洋医学における時間依存の機械的生命理解と;時間と空間の障壁を超えて作用する意識支配原理の東洋文明との間を閉ざしていた扉を開くことを期待できよう。
 われわれはまた、何か気まぐれな機会に恵まれて、生体気象学(生物系と気象学的・機械的な結びつきの科学の進んだ教育が鍼灸の生理学の理解と相侯ってヨーガ行者の奇行を理解するような期待ももてよう。ヨーガ行者の修行にはつねに呼吸が到る所で強調される。肺は多分皮膚表面の1000倍はあると思われるほど広大な表面積をもっているから、aerionsが呼吸のとき容易にそのエネルギーを解放すると思うのも無理はない。 チャクラ
実験的に、負のaerionsの豊富な空気を呼吸すると、血液のアルカリ度を高め、電撃に対する体抵抗を増加する。テストパイロットが、そのような空気の呼吸と正の体電界と併用すると、反応時間が速くなり、光の弁別能力が10倍になる。ヨーガの行者は呼吸形式において、単にかれらの細胞系を電気的に充電し、他のaerionsはつぼから電荷を急送して充電を助けるように思えないだろうか? 今後多くの生物学的データが蓄積されれば、そのような考え方に積極的な信用が集まると思う。

14.ヨーガ
 ヨーガの行者は一様に菜食が健康に必要であり、超感覚の開発に欠くべからざることを強調する。宗教的信念は別としてもなぜそうだろうか?複雑な電子スピン研究装置を駆使して、一人のノーベル受貧者は一つの答をだした。 Albert Szent-Gyorgyiは赤肉は体の新陳代謝において電子を吸収する作用があり、食肉の習慣は細胞電気系を放電する傾向のあることを示した。一方、新鮮な果物や野菜は、光合成を通してその複雑な化学構造にホトン・エネルギーを貯えるので、細胞電池に電気的充電をするというわけである。
 多分この概念は類推によって明らかである。生物系に関連をもつ地球上の電気的環境は、何か自動車の発電機のような作用をする。それは電池を充電する。われわれの細胞電池の中の化学物質は食物から導入される。自動車電池に悪い酸があると、車はスタートしない。われわれの細胞電池の中に欠陥ある化学物質は、非健康的に加えて、心霊無線機が動作不良になるか、多分不能になることを意味する。それは精神医学者にとって、いかに奇妙にみえることか。
 ヨーガの絵文字やヘルメスの杖(Hmetic Caduceus はFig.3参照)に描かれているida(陰)、pingala(陽)、sushumna(中央道)のKundahni(休内在の宇宙エネルギー)系は今なお不案内である。
 いつも知識のシンボルである蛇の巻付いてる形が両方の絵にかいてある。一方のpingala とよぶ蛇の方には正の心霊エネルギーが流れ、他のidaとよぶ蛇の方には負のエネルギーが流れるといわれている。からみ合いの灸点にチャクラがあり、そして灸チャクラはつぎつぎと“開く”、すなわち各々が心霊能力を増大するよう活発化されるといわれている。すべてのチャクラが十分に発達し活発化すると、われわれは両方の蛇形をを通して活発にエネルギーが上方に流れ、中央の軸sushumnaを通してもどるMasterになる。かくて、Masterは完全に目ざめたKundaliniをもつといわれている。キリストも釈放もそのような人であったといわれている。 ヘルメスの杖
 それでも、Dr.lan StevensonやDr. Denys Kelsey の観察を尊重すれば、このチャクラ・クンダリーニ系は多数回の転生(incarnation)を経過して発達するものであるといわれている。もし、そのような系が単にそれ自身の領域にすむ生気ある心の場を描写するだけだとして、なぜいけないのか?
 これに反して、アメリカ医学はただ一つの蛇しかないAesculapius(アエスクラピウム:医術の神)の象徴的な棒の下に作用し、多数回の系列的生涯にわたる意識あるいは潜在意識を認めない。創世記のキリスト教聖書も同様に一つの蛇しか描いてないが、ただ2つの樹を描いている。一つの樹の実は“善と悪の知識”を意味した。ヘルメスの杖とヨーガの絵文字に描かれた第二の蛇は創世記の“永遠の生命”の第2の樹に当るのだろうか?あるいはまた、第2の蛇は昔の伝説の中に埋もれてしまったのであろうか?
 器官といろいろな心霊能力に関係あるチャクラは、多数の花弁、つまり放射葉をもつものとして表現されている。これはちょうど、現代のレーダーにみられる電波放射指向特性や副次指向性のようなものである。その最大指向方向の数はつぎのようになる。
ムラダーラ 4
スヴァジスターナ 6
マニピューラ 10
アナハタ 12
ヴィシュダー 16
アジナー 96
サハスララ 1000
 合計144+1,000となるが、セム語の解釈によると144,000になる。St. John牧師はかれの霊視経験の報告で「そしてわたくしは密封されているものの数を聴いた。そして144,000だけ密封されていた」といった。*偶然 の一致か?

15.あとがき
 一般に、人間の適切な研究のできるのは人間であるといわれている。全く、他にどんな方法で自身を知ることができようか?そのような努力は超心理学者をして、天体からと同様に自由に原子物理学者の知識も借りるよう要求する。そして、物理学者のように“相補性”なる法則を使うことも許されなければならない。
 原子スピン共鳴の生理学的複雑性と生物気象学的に歩調を合せた24時間リズムは、太陽の規則正しい磁気的電気的連結体、その中に意識ある人間がでてきた現象をただ反映する。意識それ自身は沢山あるもののうちの一つの“相補性”である。素朴にいう宗教と歴史はともに高級なコンピューター技術で確め得る洞察をよび起し、人間の限りなき意識能力の認識をもたらす。ある人が言った。「神を定義することはかれを否定することである」と。
 人間について同様のことを言ってはならないだろうか? (関 訳)

*訳者注:ヨーガ根本教典には72,000本の気道があるとされている。

訳者注:日本PS学会誌創刊号に何か原稿を頂けないものかお願いした所、マキシー博士は上記のような大論文をお送り下され、全文でも抄訳でも御自由にという御手紙であった。また、国際的にサイ科学研究のため非公式の友好をもつことは欣快の至りであり、日本PS学会の誕生を祝福すると付加えてあった。
心理生物物理学(1)

The museum of kokoro science
PSIJ