PSI Vol.1, No1 May 1976 Congratulatory address pp5-6.
 祝辞
本会の創立に際して
岡田幸千雄

 本会創立おめでとうございます。
 旧約聖書時代には民族独立回復の途次紅海を分けたモーゼ、7年づつの豊作凶作を予知して困難を救ったヨーゼフのような優れた超能力に達した人物が、未来に至る迄この世を最も深く知る人物としてどんな勇ましい英雄、老練な職業政治家よりも尊敬信頼されて国の経営指導を託された。現在でも超能力の国力発展への重大性に目覚めてその開発を核融合開発よりも優先させて精力を注ぐ国が現れた事は、顕著な超能力者は現代でもその国を比較を絶した有能な国として全世界に奉仕貢献して指導国として仰がれる程になる望みがありそれを目指し始めた国が現れたと解釈されよう。例えばメッシングはどんなに命令されても全将兵を心理的に支配してミサイルや砲の発射を思い止めさせる力を持っています。ドゥロフは怒り狂う猛獣さへ眼力だけで完全に制御したと言われます。しかも総ては魂の出来事なので誰1人かすり傷1つ負わない例も多いし、粛清も謀略も軍事力も要らないし、本来副作用の害がない、それは超能力が生物最深奥生命力発揮だから原理的に生物共存繁栄に向かっているからです。
 本学会が心眼、念力で読心、テレパシー、千里眼予言等の全日本人日常化を目指す溌剌として新鮮な学術新世界の指導者として国の内外から尊敬感謝されるようにと希っています。
 
 顧みれば私は恩師の熱心なお奨めと激励でやっと勇気を奮って計画し、1973年電気通信大学に偶々その創立記念日12月8日関会長の御骨折で開かれた超心理懇談会の第一月会の集まりからたった2年余りで本会に成長した速さに全く驚く許りです。発足直後全日本にスプーンブームを惹起したユリ・ゲラーを招いた日本テレビ矢追純一氏が日本の超心理発達にテレビ実験公開で貢献された重大さに我々は深い敬意と感謝を表したい。それは超能力確認で実用化でなかったのにも拘らず、我々迄がテレビ週刊誌を賑わし、日本のブームや我々の活動さへ欧米に迄報道されました。
 もともと私は放送周波数帯圧縮可能性と云う純技術問題の原理的解決に端を発して文字言語迄含むどんな物理現象にも例外なく共通に定められる通信の分量を与える情報理論を作って通信学会誌1940年に発表し、1954年更にどんな物理現象をも経由しない生命から生命への直接通信に拡張してその際の情報不変量を山形大学工学紀要に発表し例として以心伝心(テレパシー)、黙想、祈り、座禅をその新しい情報理論の1部として述べました。18年後1972年会員数世界一を誇る電気関係の会アイトリプルイー(IEEE)年会の情報理論部問でRussell Targ を招いて超心理綜合報告が純学術講演として行われ、私の進んで来た方向に同じ専門の国際学会が活動を始め、逆に遡って見れば私が孤独に出発した仕事の発表当時は全く誰れも取合われませんでしたが少なくとも露払い乃至予言の役を果たしました。
 この様に電気通信の基礎理論として誕生した情報理論は間もなく母体を乗越えて情報処理機である電子計算機の全世界至る所への普及をもたらし、数学以下全科学から芸術に至る迄あらゆる人智と精神活動も対象として生命活動の本質に肉迫し、宇宙意識、教育革命、天才量産等の神秘的内世界の開発即ち精神文明開発に向うと同時に又地球人の月往復と云う空前の偉業によって突如として接触が現実化した惑星人、宇宙生物も、それ以前既に原爆出現以来頻繁に現れるようになったと云われるUFOの搭乗員が惑星人とすれば先方からの接触は既に月往復以前であり、万年億年単位の地球歴史探究も、元からの人類活動領域としての全宇宙の情報解明と云う機が遠くなるような外宇宙探求と内外両世界探求即ち「宇宙及生命科学」へと爆発的に生長発達しました。
 UFO乗員が惑星人とすれば地球人がやっと月往復に成功したのに対して月より遙かに遠い惑星から高信頼性高性能の乗物で頻繁に来訪している一事だけでも既に彼等の科学力の優越は明白であり、しかも彼等は噴射ロケットと違ってニュートン引力だけの考慮よりも空間の電磁波中を電磁駆動らしい方法で敏捷に動くので地球人は軍事的に全く歯が立たない。UFOがどんな態度で出現したにせよ、地球人の今迄の応対の大部分、特に国の措置は、物質文明が優先し勝ちで万事眼前の事実にならない中は信用しない実証主義で相手が丁重親切にしてくれない中はこちらもまともにつき合わぬの云う最低級の受身の礼儀、功利主義が圧倒的に普遍化している世界、独立自由への解放その他どんな理由や美名によっても事実実力行使があたり前でテロ、ハイジャックが横行して絶えず不安にさらされている現状では恐怖心が先行してしまうのも至極尤もで先ず警戒するのは個人と限らず国としても当然かも知れません。実際最初の対応は外務省でなく国防省と云う実情です。併しもし皆さん御自身がUFOに乗って居られたら、我々が物質文明でどんなに豊かであろうとも空から眺めた地球人が取乱して周章狼狽する様はボルネオの原始人なみにどう猛こっけいに見えないでしょうか?それが他星人への地球人の第一印象だとしたら多少恥ずかしくはないでしょうか?たとえジョージ・アダムスキーの物語りが全部作り話であったとしても彼は我々の文明と礼儀が全宇宙で最高のものかどうかは謙遜に少くとも他星の実情を先づ確かめてから判断した方がよくはないかと教えています。
 八戸の名門新渡戸家に代々伝えられた「無刀流剣法」はその名が示すように如何なる武力暴力に対しても相手の命を護って全く着ず傷つけずに生物として最深奥に潜む生命力を覚醒させて全生命力を注ぎ込んで慈悲の眼力によって親愛を喚起することを極意とする。その1人新渡戸稲造博士は日本流には無刀流、欧米流にも神秘主義、無抵抗主義で知られノーベル賞受賞団体であるクエーカーの1人であった事を思い出せば彼の国際聯盟初代事務次長の任命は誠に国際的にも適任であった。実際彼はそこで最高教養人から平職員に至る迄の深い尊敬が集った。それには全宇宙との調和、あらゆる生きとし生ける物への深い慈しみと云う仏教の気高い生活原理を長年愛好して身についた大和民族の血が流れています。「生の畏敬」の標語でシュバイツァーによって基督教への全生物への慈悲と云う大真理の導入が提案されたのは極く近年のことです。
 平素未知未見の相手に至る迄あらゆる生きとし生けものを慈しみ虫も殺さぬ乙女にも恥ぢない実績を積む者に対して誰がいきなり非礼な暴力を振うでしょうか?斯様に天に宝を積んだ人達にとってはこの世はあらゆる生物に親しい友として囲まれ歓喜に溢れた美しい明るい世界と化し、実際シヤカムニ、アッシジのフランチェスコ、シュバイツァーから無名の多くの善男善女に至る迄安らかに天寿を全うした。基督は人類を思う余りこの安らかな生涯を犠牲として、友の馬に命を捧げる尊さを語った彼はそれを自ら実行した。神風特攻隊を出し、米国では二世が二千余の特攻隊となって建国以来空前の戦功によって政治に参加する席を与えられた。日本民族の身を鴻毛の軽きに置く独特の性格は遂に赤軍をさへ産んだ。一部の日本人の内外の無慈悲残虐性は戦後のことです。征服欲、功利主義の者にとってはこの世の中は何時自分が淘汰されるかもしれない社会で、まわりの人は親子夫婦と誰も命掛けで斗わねばならぬ生存競争の敵で敵に囲まれた殺伐な世界に感ずるかもしれません。
 けれども慈愛の現代青年井上陽水は年老いた親をいたわり、妹を慈しみ、路上に泣く見知らぬ児を慰め、公害に絶望するハトの嘆きを訴え、「花にさへ鳥ににさへ」愛する心を忘れないものを人なら猶更いくらでも仲好く助け合って国を改善し健やかに営む国々も多いのにこの国が同志討の斗いの荒んだ巷の化したのかとの悲しみをフォークの調べで嘆いて全日本の若者の共感を呼んだ。
 惑星人に対しても生物としての彼等を支配する真理、それは唯物的生物学の法則ではなく、長い間行いつづけて来た道義的真理を日本人は体で心得て居り、我々の眼前に現れる以前から既に彼等の生命を保護する行届いた手配を国家的に行い、彼等が接近着陸したら未知の空前の遠来の客として礼儀正しくもてなし、仮に山賊、星賊、宇宙賊のようにどう猛であったとしたら猶更のこと無刀流ドゥロフ流に彼等の生命保護とあらゆる行届いた深い恩恵の実績によって尊敬と友情の関係に達するならば彼等は日本領土を特愛の地域として安心して着陸し、日本は宇宙人との最初の大規模の親交によって惑星人にさへ奉仕貢献して「与える実績」を挙げる民族となり、昔し彼等から異星文明情報を与えられるならばそれを全地球人に取次ぐ民族ともなり得る。
 このような接触にはどんなに賢く行届かなくてはならぬかは小野田寛郎元少尉の救出さへ命を賭けた勇敢な青年鈴木紀夫氏と筋を通した旧上官の命によって始めてやっと成功した事を思えば、宇宙人に対しては遙かに深い賢明さと忍耐を要するかも知れぬ。宇宙人との正常な接触は東洋の伝統である自己犠牲の気高い友情、高い道義の実践によって始めて可能となる、超能力開発成功の秘訳も亦高い道義の実践が第一義的重要条件です。(1976.2.16)

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