PSI Vol.6, No.1 October 1981 Subcommittee 1. pp37-38.
  日本PS学会 研究分科会の活動状況
成立順(昭和56年8月現在)
(4)  心の法則研究会・最新動向 世話人 橋本健
 世に「心の法則」と云われるものがあります。たとえば、“類は友を呼ぶ”“2度あることは3度ある”“心に強く描いたものは、やがて実現する”“善因善果”“因果応報”などは、多くの人に信じられています。
 このほか、九星学、四柱推命、占星術など人の運命が、まだ科学的に確立してはいないけれども、一定の法則にしたがって支配されているということを信じたがっている人もたくさんいます。
 しかし、これらの法則が、果たして科学的に“ある”と云い得るのかどうか、統計的処理を行なって、あるのか、ないのかを証明した人はほとんどありません。
 これが本当に真の法則なのか否か、最近、進歩して身近になったコンピューターを駆使して科学のメスを入れてみようではありませんか……これこそ我がPS学会に課せられた、最大の使命ではないでしょうか……と、大きな目標をかかげて出発した。我が「心の法則研究会」ではある。
 四月五日、恵比寿区民会館において、第一回の会合を開き、第二回が六月二十八日、第三回が八月二十三日代々木八幡区民会館で開かれた。
 第一回の会合では、会員入会希望者の初顔合わせであり、私が会の主旨を説明し、今後の運営方針などにつき座談会形式で出席者全員の意見が出された、“心の法則”の定義をきめよというものや、統計でも落とし穴があるから、その方法によって誤った結論を導き出すこともあるので慎重にすべきだ、など多くの活発な意見が出された……。
 第二回は倫理研究所理事、日本PS学会理事でもある宮崎四郎氏により、「正しい心の法則とその意義」と「病気に関する心因の研究」という題で講演が行われた。
 宮崎氏はまず、大自然は宇宙の法則に従って、一分一秒のくるいもなくめぐり動いているが、この宇宙の法則を大きくわけると、物質面と精神面とにわかれ、物質面は科学としてその法則を研究するが、精神面は倫理であり、精神面の宇宙の法則を心の法則と定義され、さらに心の法則の発見系路、原理と倫理、発顕還元の原理、全個皆完の原理、等々について述べられた。
 次に「病気に関する心因の研究」としては倫理研究所発行の月刊誌「新世」「文化と家庭」に掲載された疾病体験を主体として、昭和22年10月の創刊号より、昭和54年12月号までを一応の区切りとして調査した649例から、病気と心のひずみとの相関関係について述べられた。
 これによると、病気の原因としての心の持ち方の多い方から述べると、第1位が親、祖先の霊を尊敬しないこと、第2位が感謝の欠如、第3位が愛情の欠如、第4位が不平不満、以下、いうことを聞かぬ、怠け心、高慢心、相手を責める、強情…等となっている。
 第三回「心の法則」研究会は8月23日、代々木八幡区民会館で行なわれ、若い研究家・斉籐啓一氏の講演から始まった。
 まづ斉籐氏は、「心の法則研究会」の意義として、
 1)心の法則を知らずして幸福になれない
 2)宗教と科学を結ぶものである
 3)精神世界の試金石である……とされ、心の法則の科学的アプローチ方法につき私案をのべ、次に本題である「運命とは何か」につき斉籐氏が自費出版された「現代の運命等」につき講演された。講演後出席者の中から活発な対立意見が出され、大変有意義な会合であった。
 「心の法則」は統計学で証明できるか?
 「類はとこを呼ぶ」ということわざがあるが、これは体験上事実らしい、毎日の新聞を見ても似たような事件が同じ日に起きている。顕著な例が航空機事故だ。私は統計をとってみたところ、航空機事故は偶然ではなく、かたまって起きていることがわかった。(超科学Q&A)さらにこのことは武者利光氏も計算されて、ブルーバックス「ゆらぎの世界」56頁にも出ている。
 このようにして計算によって世に云われている「心の法則」をたしかめようとしているが、人間世界の出来事は極めて複雑なのでなかなか数字にのせることは難しい。
 ただ「天中殺入門」という本によると、天中殺の年に結婚した人は5年以内に70& 、10年以内に96& が離婚しているというので、早速天中殺の年を計算するプログラムを作り、コンピューターで統計をとろうとして、会員から、離婚した人の生年月日を教えてくれるように呼びかけたことがあったが、データはほとんど集まらず、この試みはできなかった。
 私はこの「天中殺入門」のように人に恐怖を与える本は大悪意であると思っている。したがって、この説は間違いだということを科学的に証明したかったのである。しかし、最近の和泉氏は改心されて、自分の非を「週刊読売」などに述べられているので、世間一般の人が、天中殺などを恐れなくなったなら、それでよいと思う。
 しかしまだまだ、人を不幸にする「云伝え」は多くはびこっている。
 また、ノストラダムスやグランドクロス、惑星直列など、人々に恐怖を与える行きすぎた終末思想も苦々しい事だと思う。
 終末思想は何千年の昔から、予言者達が、今こそ末世である、近い内に人類は滅亡すると説き続けて来た。そしてすべての予言は外れ続けて来たのだ。
 科学的に根拠のない、人々に恐怖を与える悪い予言に恐れてはならない、人類を幸福にする正しい「心の法則」を科学的に確立し、科学と宗教の融和を計り、永久の平和な世界を造り上げてゆきたいものである。

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