PSI Vol.39,No.1 December 2017 Data 3. pp.122-125
(随筆)渡り廊下のその先は?*
 三浦 良江*

 私の"知りたがり"遍歴は小学校三年の頃から始まった。
 その頃はベビーブームで、通っていた小学校では生徒を収容しきれず、近くの中学校への一年間"間借り生活"をしなければならなかった。
 中学校の図書館にはぶ厚い本がぎっしりつまっていた。時折緑の風が吹き渡る木陰の図書館は、私のあこがれだった。次に走るのは、「職業室」だった。ひき戸を数センチあけそっと覗いた先には、大きな電動工具が整然と並び、薄暗い中に機械油の臭いが漂っていた。
 担任からは「あの廊下を渡り、中学の兄さんや姉さんたちのもとには行ってはならぬ。」と口をすっぱくして言われていても、9才の子供にとってほんの少し大人の匂いのする中学本館は、魅力にあふれていた。
 放課後、先生たちの目をくらまし、禁断の廊下を小走りに抜けると敵もさるもの、渡り廊下のその先で待ちかまえていた先生にあっさりつかまり、大目玉をくらうのだがやめられなかった。
 一年間の"間借り住まい"は、スリルと冒険の楽しい日々であった。
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