PSI Vol.38,No.1 December 2016 Data 1j. pp.90-94
宇宙と私の物語
和場 まさみ(作家)*
★高田馬場のグレイ
「空に煌めく星のひとつひとつに、きっと誰かが住んでいる」
 幼い頃から、そんな思いを漠然と持っていた私が、最初に宇宙人らしき生物と遭遇したのは東京・高田馬場だった。今から25年くらい前のことだと思う。
 まだライターとして駆け出しだった私は、その日も高田馬場駅から徒歩3分ほどの場所にある出版社の編集部で、徹夜の入稿作業をしていた。  仕事が終わったのは、朝の5時。仲間の女性ライターと2人、駅へ向かおうと出版社のビルを出た。
 と。路上に置かれたブルーのゴミバケツのひとつが、ユラユラと揺れている。
(ネコかネズミがゴミ箱を漁っているのだろう)
 最初はそう思ったのだが、それは大きな間違いだった。
 そのゴミ箱を漁っていたのは、黄緑色をした、身長50〜60Bほどの得体のしれない生物だったのだ。

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