PSI Vol.6, No2 March 1982 An article 1. pp.2-3.
心霊医学・心霊治療の確立、普及の現代的要請
笹本宗園*
Soen Sasamoto*

 わが国の医療費総額は年々増額の一途をたどり、健保・国保の累積赤字は厖大なものとなって国庫負担は極めて大きい。所謂3K(米・国鉄・健保)が国家財政上のガンであると言われるが、医療費の膨脹を抑えることは米・国鉄の赤字政策とは異質のものであり、合理化政策による手直しは困難で、政策的な力で大きく軽減することは容易ではない。
 一方で、医学や薬学のめざましい発展によって疾病の撲滅策が急速に進んでいるが、それにも拘わらず病気の種類は増え、患者数も診療の頻度も増加しつつある状態である。老人医療の無料化が受診率を高めたという一面もあるとしても、老令人口は基本的に増加している現状では、若干の歯止め策程度では受診頻度を阻止すること、受診者数を減ずることは不可能と言ってよい。
 かくして病人は益々増加し、それに伴い国民総医療費は年々膨脹してゆく一方である。このまま推移するならば、健保・国保財政はやがて破産の渕に追い込まれることになるであろうし、この赤字補填を行う国家財政・地方財政も益々苦しい羽目に陥ってゆくであろう。それはとりもなおさず、国民一人一人の肩に重い負担となってハネ返って来ることになるのである。
 現代医学は、病理学から臨床医学に至るまで、大変めざましい発展を遂げているが、心霊的な側面から見た場合には、肉体医学、細胞医学、細菌医学の範囲に限定されたもので、人間の精神的・心霊的部分については見落としている。治療についても、薬剤・注射・手術・放射線などの方法をもってしても、それらの手法は症状に対する対象療法に止まり、疾病の原因に対する根本治療ではない。
 医学で言う病気の原因なるものについて観察してみると、よって来たる結果を先行する原因としている場合が多い。そしてこれらの原因を根源に遡及してゆくと心因的な原因にもとづくものが少くない。昨今の精神身体医学の発展、疾病と心理との相関関係の研究の発展はこれらのことを如実に示している。
 病気の真因は何か、病気という現象は何かという問いを心霊的な側面から推究するならば、心霊学・心霊臨床学的にみて、それは霊的原因によって起るものが多く、病気は殆ど霊的障害(霊障)現象であると言ってよいであろう。大部分の疾病症状は霊障によって惹き起こされることが多いのである。
 吾々心霊体が病気現象の根底を観察して、より根本的と思われる原因を探るときは、極めて多くの場合、霊的原因(因縁霊)に突当るのである。その実際については、霊障とは無関係な病気現象、疾病原因を求めることの方が困難(少い)な位である。内科的疾患の多くは霊障と深くかかわっているものが多い。精神科に関しては殆ど心霊的な原因によるものと言ってもよいのではなかろうか。…
*日本運命指導協会会長
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