PSI Vol.5, No.2 November 1980 Suggestopedia special number-Description 2 pp.15-18.
悟り50倍加速法と脳波バイオフィードバック
橋本健

“悟り”は何をもたらすか?
 座禅、ヨガ、静座、念仏など、昔から多くの人は、悟りの境地を求めて修行を続けてきた。ストレスの多い現代、さらに科学の装いをつけて多くの精神統一の方法が巷にあらわれつつある。
 悩み多き現代人はこれらの門をたたき、悟りの境地を求めようとするが、仲々その境地を得るのは難しく、或る方法に失望し、他の方法をさすらい求めるか、精神的方法はダメだとあきらめ、再び従来の科学的方法をさがす人が少なくない。しかし従来の科学は、この問題“悟り”の方法について無力である。
 さて、現代人は“悟り”の中に何を求めているのだろうか?
 多くの場合、悩みの解決であろう、この悩みも色色あるが、要約すると生老病死の四苦がその代表的なものであろう。最初の生、即ち生存競争の苦しみの中で、まず若人が最初に遭遇するのが入学試験をいう難関であろう。
 多くの若人がこの問題で苦しんでいる。
 次に遭遇するのが仕事の問題で、山口百恵のように若くして才能を発揮し大成功をおさめる人もなくはないが、極めて少なく、多くの人は仲々人生は思い通りにゆかない。その例の一人は巨人軍の長島監督で、監督にはなったけれど、巨人は仲々優勝できず、ファンの批判を一身にあつめ大いに苦しんでいることと思う。巨人軍の前監督川上哲治氏は仕事上で悩んだ時、よく禅寺にこもって座禅の修行をして、遂に巨人をして九連覇をなしとげたが、何故長島は座禅をしないのであろうか。心の歯車が狂ったとき、それを癒すすべを知らぬ人は不幸である。
 しかし達磨大師でさえ、九年間も座りつづけ、手足が腐ってなくなってしまったが、なお悟れなかったという。ましてや普通人たるわれわれが、座禅のまねごとをちょっとシーズンオフにしたくらいで悟りの境地に入れるものか、できないというのが至極当然なことであろう。
 現代社会に忙しく生きて行くわれわれには学習五十倍加速法ならぬ悟り五十倍加速法こそ最も必要なものではあるまいか。…

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