PSI Vol.3, No 1 June 1978 解説 pp.26-35.
“原子のなりたち”
山本洋一*

 元素の原子Mが、質量数Aと原子番号Zに関連して陽子(MH - e), 中性子MNよりたる原子核とそのまわりをまわる電子eとよりなるとして、
 M = Z (MH - e) + (A + Z) MN + Ze .....(1)
の式がある。原子量としてMH=1,00790, MN=1,000872なので、MN=MH + 0.00082として(1)式に代入整理すると、
 M = AMH + 0.00082 (A - Z) .....(2)
となり、中性子MNと電子 e は原子内には無いことになる。
 元素の原子はMHを質量単位として、その質量数Aだけの集まりを0.00082 (A - Z) の質量でかためられている姿である。
 質量単位としてのMHの1,0079は、水素の同位元素としての質量数1, 2, 3 の出現頻度の平均値で、一般に原子量は1原子量の質量Mu1.66053 · 10 -24gを1とし、同位元素としての原子番号の同じで異なる質量数の出現頻度による平均値に1原子量を1としてかけた値である。したがって、1原子量の質量のMuを1として、MHにかえて質量単位とする方がよく、(2)式をかきかえて、
 M = AMu + 0.00082 (A - Z) .....(3)
とする。0.00082は水素原子MHと中性子MNとの質量差なので、ここではMuに0.00082の質量の加わったものを中性子MNとする。
 Muの1原子量1の質量を質量単位(mass unit)とし、その平均質量数Aの集まりが、0.00082 (A - Z)の質量を目地(binding matter)としてかためられているのが原子である。AMuがいわゆる原子量で、g(グラム)をつけると1モルの質量で、数字だけは原子の同位元素の出現頻度の質量数Aの平均値である。元素の原子量表の原子量平均質量数として、端数をみとめていくのが一般的である。…    
* 日本工業振興協会長
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