PSI Vol.1, No2 September 1976 Description pp.25-27.
研究方法解説  超感覚能力を表す指数としての確立とCRについて
関英男
Hideo SEKI

はじめに
日本PS学会はサイ現象を研究するのに科学的方法を適用することをモットーにしている。デューク大学のライン教授はESPの研究に早くから統計的手法を適用してきた。米国では、サイ現象を信じようとしない科学者も、デューク大学の統計的手法に関するかぎり、全く疑問をさしはさむ余地がない、といっている。ここに解説しようとするCR(Critical Ratis)は、直訳すれば臨界比となり、意訳すれば超感覚倍率となる一種の指針であるが、確率統計論から導入される所の便利な数字である。CRが5であるといえば、実験の条件がどうであろうとも、超感覚能力を表す指数が5であるということであって、他の実験条件で得られたCR値と簡単に比較できることになる次第である。そうでないと、ESPカードの図柄が5種類で、枚数が25枚で、毎回25枚の中から1枚づつ選び出す実験をし、25回の実験中15回適中した、などといわなければならないし、たとえ、そういっても、図柄が4種類で25回の実験中16回適中した場合と、どちらが勝っているかわからないわけである。もちろん参考のために実験の条件を詳細に記述することは追試の必要がおきた場合など便利なことであるが、読者の判断を容易にする意味で、CR=5であったといえば、それだけでも大変意味があることになる。
 最近の海外文献をみると、大抵このCRの値と偶然だけでそのような適中数が得られる確率とが記載してあるので、この際、しっかりとした知識を身につけておくことが、サイ科学研究者として必要なことではあるまいか、と思って、つぎに解説を試みることにした次第である。そして、今後ESPの実験をした場合に、生のデータだけでなく、必ずCR値を計算して報告することにすれば、国際的にも通用する論文になると信ずる。

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